【 ご家庭で簡単に作れる本場の梅干し 】
本ページでは、昔ながらのおばあちゃんが作ってくれたしょっぱい手作り梅干の作り方(レシピ)を梅の本場、紀州みなべの梅農家が丁寧に分かりやすく、そして詳しくご紹介いたします。
昔懐かしい酸っぱい梅干ですが、塩だけを使った無添加製法で作ることで保管方法によっては10年以上もつとも言われる伝統的な製法です。塩のみで漬けた梅干しは、和歌山県では白干梅といわれています。また、梅は医者いらずといわれるように、クエン酸などの効果として、夏バテや熱中症予防、疲労回復、肥満防止などの健康効果が注目されています。はじめての方でもご家庭で簡単に作れますので是非チャレンジしてみてください。
梅干を作る時期は6~7月頃。梅干作りに必要な生の梅(完熟梅)は6月中旬~7月上旬頃の短い期間にしか手に入らないので注意が必要です。
梅 (完熟梅) | 2kg |
粗塩 (あら塩) | 360~400g |
焼酎 (度数35%以上) |
少量(消毒用) |
漬物容器 | 容量5リットル程度 |
漬物用ビニール袋 | 1枚 |
落し蓋 | 1枚 |
重石 | 2~4kg程度 |
梅干作りで大敵なのが「カビ」です。使う道具類は、必ず熱湯や焼酎等をかけて消毒してください。
漬物容器は、焼酎を少し入れて容器を振って全体に行き渡るようにまわしアルコール消毒し、中に残った焼酎は捨てます。
■プラスチック容器を使う場合
内側に敷いた漬物用ビニール袋に焼酎を入れ上記同様に消毒します。
ボウルを使い、流水で梅を洗います。梅はやわらかいので、手でやさしく丁寧に汚れを落としてください。清潔なふきん等で水気を拭き取り、タオル等の上に並べてしばらく乾燥させます。ザルにあけて水切りをしてもOK。完全に乾かす必要はありません。表面が少し湿っているくらいのほうが塩が付きやすいためです。
※アク抜きの必要はありません
完熟梅はアク抜きの必要はありません。水に浸けると茶色く変色しますのでご注意ください。
※落ち梅(拾い梅)を使う場合の注意点
極稀に梅の中に虫が入る場合がありますので、落ち梅を使う場合は水洗いの後に必ず30~45分ほど水に浸けておきます。約45分水に浸けるとほぼ虫が出てしまいます。
奥に残っているヘタ(ホシ)を、竹串や爪楊枝を使って梅にキズがつかないよう注意しながら取り除きます。
容器にビニール袋を敷き、底に塩を一掴みふります。次に梅を平らに並べ、その上にまた塩をふり、梅と塩を交互に入れていきます。梅と梅に隙間が無いように塩を入れ、上に行くほど塩の量を増やします。できれば一番上は塩で隠れるようにする。その上に落し蓋を乗せます。
※梅農家直伝の失敗しないコツ
漬けた梅から梅酢を早く上げるために、予め用意しておいた梅酢を少し入れると梅酢の上がりがよくなります。毎年梅干作りをされる方は梅酢を少し残しておくことをおすすめします。
落し蓋の上に重石(約2~4kg)を乗せます。(梅の量と同量程度)。漬物袋を使う場合は重石ごと包み込むように縛ります。(※重石も予め消毒しておきます)3~5日して梅干が隠れるくらいまで梅酢が上がってきたら重石の量を半分以下に減らします。
※梅農家直伝の失敗しないコツ
梅酢を早く上げることが重要です。梅酢の上がりが遅い場合は重石を増やすなど調整をしてください。重石はペットボトルに水を入れたものなどでも代用可能です。
ホコリ等が入らないよう上からビニール袋をかぶせて日陰の涼しい場所で保管します。3~5日すると梅酢が、落し蓋付近まで上がって来ますので、重石の重さを半分以下に減らします。梅は常に梅酢に完全に浸かっている状態にしてください。ときどきカビが発生していないか確認しましょう。
※失敗しないコツ
梅酢を早く上げることが重要です。梅酢が上がるまで日数がかかってしまうと、梅が傷んでしまう可能性が高くなります。漬けて2日ほどで梅酢の上がりをチェックして、上がりはじめていればそのままにし、少ない場合は重石を追加します。何度も容器を開け閉めするとカビの原因にもなりますので注意してください。
※カビが発生した場合
梅酢の表面に白いカビが発生した場合はすくって捨ててください。焼酎をほんの少量回し入れ、カビを防ぎます。梅の表面の一部にカビが発生していた場合は、その梅をすぐに取り除きます。梅や梅酢全体にカビが広がっている場合は取り返しがつかない場合もありますので、道具の消毒や保管場所、容器内を綺麗にしておく事を心掛けましょう。
※紫蘇漬けにする場合
紫蘇漬けにする場合は梅酢が上がりましたら、梅の上に乗せてそのまま漬けておきます。乾燥させたい場合は、土用干しの際は紫蘇も一緒に干してもかまいません。
漬け始めて一ヶ月程度が経ち、梅雨明け頃に、晴天が4日間続きそうな日を選びます。3~4日干すのは大きめの梅(2~3Lサイズ)を想定した日数になります。ザルを用意し、ブロックなど土台の上にザルを乗せ風通しを良くします。できれば梅酢も日光に当ててあげてください。
■ 1日目
ザルに梅を間隔を開けて平らに並べ日光に当て干します。できれば一日に一回梅を裏返しましょう。皮が破れやすいため裏返し作業はやさしく行ってください。暑い日中に無理に裏返そうとすると皮が破れることがありますので、夕方や翌朝でもかまいません。ザルは夕方になる前に屋内に取り込みます。ふっくらと仕上げるため1日目のみ梅酢の入った容器に梅を漬け戻します。(※必ずしも梅酢に戻す必要はありません)
■ 2日目・3日目
日中は1日目と同様に干し、今度は夕方前に取り込まず、そのまま夜も干したままにして夜露にあてます。万一の雨に備えて夜間は屋内か屋根のある場所に移動させておきます。
■ 4日目
自分の好みの乾燥具合になったところで取り込みます。しっとりめが良ければ朝に、乾きめが良ければ夕方に取り込みます。
※土用干し中に、天候が雨や曇りになった場合
湿気はカビの原因にもなりますので、外に出さず屋内で保管して晴れた日に続きを再開してください。
※梅干のサイズによって干す日数を調整してください
小さい梅(小梅)は2~3日ほど、大きい梅は3~4日ほどが目安です。
※梅干の表面に白いものがついている
カビではないかよく観察してください。ほとんどの場合は塩の結晶が固まったものと考えられます。
干しあがった梅干は梅酢に戻さず、ガラスや陶器、プラスチックなどの密閉できる保存容器に入れて冷暗所、または冷蔵庫にて保管します。干し上がり後はすぐに食べることもできますが、3ヶ月~半年ほど置き塩味の角がとれて次第にまろやかな味になった頃がおすすめです。
残った梅酢はペットボトルなどに入れて保管しておき、料理の調味料としても利用できます。
梅の品種は南高梅が最適とされています。南高梅は果肉がたっぷりで皮が薄く大粒のため、でき上がりの食感もやわらか。触った感触が少しやわらかくて黄色く熟した完熟梅を使います。
■サイズ選びのポイント
皮がやわらかくできあがりの食感がよい2~3Lサイズがおすすめです。4Lなど超大粒になればなるほど、皮がやわらかい反面、漬けた際に皮がやぶれやすく、どうしても潰れやすくなります。
使用する塩の量は、漬ける梅の重さに対して約5分の1程度(18~20%)です。塩はミネラルのある粗塩を使うと、梅干と絡みやすくまろやかな風味が出ます。塩分の少ない梅干しを食べたい方は、18~20%で作った後、出来上がったものを塩抜きしましょう。
焼酎(ホワイトリカー)はアルコール度数35%以上の物を消毒用に少量だけ使用します。度数が35%以上であれば飲用等でもOK。焼酎はなくてもかまいませんが、失敗しないためにはご利用をおすすめします。
容器は、プラスチック製の漬物樽・ガラス・陶器・ほうろうで広口のものを使います。プラスチック容器を使う場合は、衛生面や匂いの付着、腐食の心配などから、容器より少し大きなサイズの漬物用ビニール袋をご用意ください。容器の大きさは、梅の重さに対して3倍程の容量のものが適しています。
漬物容器に付属のものを利用したり、大きめのお皿などでも代用可能です。ただし、金属製のものは腐食するので避け、木製もカビの原因となるので避けてください。
市販の重石などを利用します。石などでもかまいませんが、漬けの途中で重さを減らす必要が出てきますので、調整分も用意しておいてください。熟しすぎた梅を使う場合は、つぶれを防ぐため重石は少量にします。必ず梅が梅酢の中に浸かるようにします。
多少黒くなっていたり、皮に擦りキズがある程度なら漬けて差し支えありません。漬けた後に消えてしまいます。ただし、大きなキズのあるものや斑点のあるのも、虫食いはカビの原因にもなりますので必ず取り除いてください。
黄色く熟した梅(完熟梅)を使う場合はアク抜きの必要はありません。青梅を追熟させずにそのまま使う場合は、2~4時間程度アク抜きが必要になります。(※南高梅の場合はアク抜きは必要ありません)
可能です。しかし梅干しができた時に皮や果肉が硬くなってしまう場合があります。青梅を使う場合は常温で2~3日ほど置き、黄色く追熟させてから漬けましょう。(※追熟させても出来上がりが硬くなる場合があります)
風通しのよい冷暗所などで、ザルなどに広げるか、ダンボールなどに入れ密閉せずフタを開けた状態で2~3日程度常温で置いておきます。ビニール袋などに入っている場合は必ず出してください。(※冷蔵庫では追熟しません。必ず常温で置いてください。)
粗塩以外でも可能ですがおすすめは致しません。精製塩はサラサラのため梅にかからず容器の下にたまってしまいます。また、梅干しの味は塩で決まります。にがり成分(ミネラル)を多く含み、しっとりとして梅になじみやすく梅酢も上がりやすいため梅干しに適しています。
梅干の塩分は18~20%で漬けることをおすすめしております。カビが生えにくく、出来上がったあと常温でも長期間保存できる塩分濃度です。もし減塩をしたい場合は、食べる前に塩抜きをしましょう。
18%以下でも作れないわけではありませんが、梅酢が上がりにくく、カビが生えやすいため初心者の方には全くおすすめできません。上記のように20%で漬けて塩抜きすることをおすすめします。
カビの原因になる可能性があります。また梅酢の上がりが悪くなる場合もありますので、ヘタはしっかり取りましょう。
ヘタの部分に水が入りカビの原因になる可能性があります。洗う→ヘタ取りの順がおすすめです。
梅干がしっかり梅酢に浸かっていなかった可能性があります。傷んでしまっている場合もありますので、よく確認してください。
夏の強い日差しに当てることで、カビなどの菌の増殖を抑えることで梅干を長期間保存させる効果があります。また梅の水分が少なくなり、味が凝縮され風味がよくなります。
やわらかく仕上げるために、1日目のみ夕方に梅酢に戻す方法をおすすめしています。ただし、必ずしも戻さなければならないわけではありません。
日差しの強い7月下旬~9月頃であれば問題ありません。
梅干の重さが元の梅から50~60%くらいになるのが目安です。
消毒用に使用する焼酎の量は極少量ですので、匂いなどは消えてしまいます。
ガラスはいきなり熱湯を入れると割れることがあります。まずはぬるま湯で十分に温めてから熱湯を回しかけます。同時にフタの消毒もします。清潔なふきんの上に下向きに瓶を置き、完全に乾かします。
ガラス、陶器、プラスチックなどの密閉出来る容器に入れ、冷蔵庫もしくは冷暗所にて保存してください。
市販の果実酒瓶で漬けることができます。その場合は梅2kgに対して5リットル瓶でご利用ください。瓶に梅と塩を入れたあと、水を入れたナイロン袋を梅の上に置いて落し蓋の代用としてご利用ください。金属製の物は、塩分や酸で腐食するので避けてください。
漬ける梅の約2~3倍の容量が目安となります。2kgの場合は5リットル容器、5kgの場合は15リットル容器、10kgには20リットル容器などがおすすめです。
梅酢(白梅酢)は大変貴重な物です。クエン酸などの有効成分も多く含まれていますので、ビン等に入れ、冷蔵庫もしくは冷暗所にて保存してください。酢の物や煮物やサラダのドレッシングとして、お酒に入れてみたりと、様々な料理にお酢の代わりとして使えます。また水に薄めてうがいに使ったり、掃除に使ったりとその使い方は様々です。
生の梅5kgで漬けた場合、干し上がりは約半分の2.5kgになります。保存は3L容器のガラス瓶が最適です。
梅に対して約20%ほどの「もみしそ」を、梅を漬けて梅酢が上がってきた容器に入れます。土用干しの際に紫蘇も一緒に干すと良いでしょう。もうひとつの方法としては土用干しが終わったあとに梅酢に戻さず別容器に入れる際に紫蘇を梅干しの間に挟んでいく方法もあります。
梅に対して約2割の赤じそを用意しましょう。販売されている「もみしそ」を使っても結構ですし、生の赤紫蘇をご自身でアク抜きしても結構です。
梅干しには「バニリン」という成分が含まれており、肥満予防に効果があると考えられているそうです。またバニリンは電子レンジや焼くことで増加するそうです。梅干しは塩分が多いので食べ過ぎには注意しましょう。