和歌山県は、平安時代から炭の産地として有名であり、紀州備長炭が完成されたのは江戸元禄時代と言われています。備長炭の名前の由来は当時紀州田辺に炭問屋を経営していた備中屋長左衛門という商人が、商品の炭に「備長炭」と名付けて販売したのがはじまりとされています。その後、紀州から四国や九州に製炭技術が伝えられていきました。
備長炭は白炭です。白炭とは製炭の過程で、ほぼ焼き上がり炭化した炭を1,000℃以上の高温の中で精錬します。また、灰と土を混ぜた消粉とよばれる灰をかけてゆっくりと炭を消火します。炭の表面に灰がついて白くなることから「白炭」と呼ばれています。出来上がりは堅くしまり、より堅いほど良質とされており、燃焼時間が長いのが特徴です。白炭を焼く技術は大変難しいため備長炭が貴重とされています。
一方、黒炭は主な原木としてナラ、カシ、クヌギ等を400℃~700℃で焼き、窯を密閉して消火します。表面は黒く、軟らかで火付きが良い。また火がつくと高温になり短時間で燃焼します。
紀州備長炭は、和歌山県の日高川町、みなべ町、田辺市を中心として年間約1100トン(2013年)が生産されており、白炭の生産量日本一を誇ります。1989年には2500トン以上の生産量がありましたが、現在は原材料不足と製炭者の高齢化で生産量が減っており、年々希少価値が高まっています。
紀州備長炭とは2006年に和歌山県木炭協同組合の地域団体商標になります。その定義は、白炭のうち、ウバメガシ(カシ類を含む)を炭化したものであること。固定炭素が90%以上、精錬度(炭化の度合いのこと。値が低いほど炭素の純度が高い。)が0~2度(炭化温度が800~900度以上。)であること。または、県無形民俗文化財の指定を受けている製炭技術によって製造されたものであって、ウバメガシを主体とするカシ類の天然木を原料として県内で製炭される白炭であること、とされています。
紀州備長炭独自の製炭技術によって生産されてる紀州備長炭。品質が高いほど硬く締まっており、炭同士で軽く叩いてみると「キンキン」と高い音が鳴ります。音が高いほど、炭の中に空洞がなく締まっている証拠です。締まっている炭ほど、火がつけにくいのですが、その反面、一度火がつくと長時間、安定して燃え続けます。
また、紀州の炭焼き職人(製炭士)は、自ら山に出向いて木を切り出し、その木を焼いて製炭をする方が多くいます。原木を購入して製炭作業のみをおこなう職人もいますが、未だに多くの現場では一連の作業を全て職人がおこなっており、山や木の状態を確認しつつ、質の高い炭の生産がおこなわれています。しかしながら、現在は原木となるウバメガシが少なくなっており、切った木を持ち出すのが大変な山ばかりになっています。そうした大変な作業と、原木の希少さ、高い品質が伴うことで紀州備長炭は最高級といわれています。
紀州備長炭は品質が高いほど長時間安定して燃え続けます。うちわなどでの温度調整も比較的簡単(700~900度)で、作業効率が大変良いことから、炭火焼をするプロの料理人にとって扱いやすい炭といわれています。よく誤解されがちですが、備長炭の炭火は火力が強いわけではありません。うまく焼き上げるには遠火の強火といわれます。備長炭の特徴である遠赤外線は、食材をムラなく焼くことができ、中までしっかりと焼くことができます。短時間の強火で中まで火が通り表面は焦げにくいのです。また、肉・魚・野菜など、食材を選ばず素材本来の味わいを引き出し、燻製による上品な香り付けの効果もあります。
炭化率が高く、ほぼ炭素化し不純物が少ないため、煙も匂いも少なく飲食店などで利用しやすいといわれています(※もちろん換気は必要です)。炎が上がりにくいので食材の表面があまり焦げず、意図しない焦げによる匂いも抑えることができます。
紀州備長炭にも様々な規格(ランク)があります。その違いは、価格が安いものほど、炭のサイズが小さめ(不揃い)で燃焼時間が短い傾向です。炭火を長時間使用する飲食店では燃焼時間の長い高級な備長炭を使用されることが多いのです。燃焼時間は当然ながら、炭を足したり火加減を頻繁に調整する手間が省けるからです。時間と手間、必要経費などを総合すると高品質(高級)な炭の方が結果としてコストパフォーマンスが高いと考えられている飲食店もあります。また、上質な炭ほど一度消火(消し炭)にしても再利用しやすいといわれています。
ウバメガシはブナ科コナラ属の木で、主に太平洋側の温かい海岸近くの山地に多く生えるカシ(樫)の仲間です。和歌山県の木にも指定されており、紀伊半島南部の低山の斜面に育成されています。葉の形が馬の目に似ていることが名前の由来とされています。
備長炭の原木となるには20年~30年が必要なため、生育が追いつかず、原木不足の深刻化が、紀州備長炭が貴重な要因にもなっています。
木質は硬く、建築や木工製品の材料には不向きですが、伝統製法で焼くと堅くしまった火持ちの良く品質の高い白炭が出来上がります。
紀州備長炭の場合、原木の伐り出し作業は、製炭者自らが行うことが多くなっています。樹齢20~40年程度のウバメガシを山の環境に配慮しながら択伐を行っていますが近年は原木そのものが少なくなっていますので択伐も難しくなってきています。原木の調達方法は山に生えているウバメガシを購入するところからはじまります。土地の所有者との交渉などもおこないます。
山から運んできたウバメガシを窯に入れる前にする作業です。原木は自然な曲がりがあるため、できる限りまっすぐになるように切れ目を入れたりくさびを打ち込んだりして1本ずつ丁寧に形を整えていきます。木をまっすぐにすることで、窯の中にる木の量が増え、さらには形の良い備長炭が出来上がります。
整った原木を窯の奥から詰めていきます。前回の窯出しから窯の熱が冷めないうちに木を窯に入れた方が炭ができるといわれていますが、現在は窯が冷めてから木を入れる製炭者も多くなっています。しかしながら品質を重視する製炭者は窯が熱いうちに木くべをおこないます。その際「コロバシ」や、「立て又」を使って窯の中に木を立てかけていく昔ながらの「はねくべ」をおこなう製炭者もいます。熱い窯に人が入ってくべる方法もありますが、窯の中は大変熱いため大変な作業です。
職人によって違いはありますが、製炭は約15~20日程度かけてじっくりと丁寧におこないます。木をくべ終わったら窯の入り口の半分超を土やレンガ等で塞ぎます。そして窯口で火を焚き(口焚き)窯内の温度を上げて木の水分を飛ばしていきます。職人は匂いや煙の色で窯の中の状態を判断しながら、火を調節していきます。はじめは水分を含んだ白色の煙が多く、段々と青っぽい色に変わってきます。また酸っぱい匂いになってきたら炭化の合図です。製炭者は窯の中の木に火がついて炭化がはじまったことを「つく」または「ついた」といいます。炭化がはじまったら窯口をほとんど塞ぎます。ここから約7~10日ほど窯口に小さな穴を開けたり排煙口の大きさを調節して炭化の状態を保ちます。
炭化が進むと煙の色が青色から透明に変わってきます。いよいよ1000度にもなる最終の精錬(ネラシ・アラシ)作業に入ります。半日~1日かけて焚き口をゆっくりと時間をかけて開けていき、窯の中に空気を送り込んでいくことで一気に炭化が進みます。そして木の色が赤から金色に変わったら炭を窯から出す「窯出し」作業に移ります。炭化が終わった金色の炭をエブリという道具で少しずつ窯の外に出していきます。窯出し作業も長い場合は12時間以上ほどかかることもあります。
窯から出した炭に素灰(土と灰)をかけて消火します。紀州備長炭は熟練の技術が伴って完成されるのです。出来上がった際に表面が白くなるのは消火の際に素灰が付着するためです。色が白いほど品質の高い良い炭とされています。
灰をかけて1~2日ほどゆっくりと冷ましたら紀州備長炭の完成です。サイズや品質ごとに選別をおこない箱につめていきます。最初に窯に入れた木の重量は、備長炭になると約1/10ほどになっています。
基本的に備長炭は業務用を想定した規格になっています。上質なものほど硬く火がつきにくい傾向です。備長炭をはじめてご利用になられる方は、比較的小さめ(一例:直径5~10cmほど)の訳あり品がおすすめです。BBQなどのコンロを使う場合はコンロのサイズも確認しましょう。家庭用の七輪や火鉢で使う場合も小さめの炭がおすすめです。訳あり品の小さめの炭は火がつきやすく燃焼時間も短くなりますが、備長炭の利用がはじめての方や着火に慣れていない方には扱いやすい炭です。着火には火起こし器、または着火剤、黒炭等をご利用ください(※危険ですので火起こし器はカセットコンロでは利用できません)。
炭火焼きの店舗などでは、お手元の焼き台のサイズを確かめた上で、備長炭を選んでください。長いものは割ることも可能ですが、できる限り焼き台のサイズにあったものがおすすめです。焼き鳥店では比較的細長い炭が好まれています。うなぎ店では油が炭に落ちるため比較的大きめの炭が好まれています。炭のランクが上がるほど燃焼時間も長くなります。
紀州備長炭は「強火の遠火」が最大の特徴です。温度調節もスムーズで遠赤外線の効果で短時間で食材に火が通ります。表面はパリッと、食材の旨みをギュッと中に閉じ込めます。備長炭で焼くことで、食材の味を活かすことができるがプロの料理人が紀州備長炭使う理由です。また、長時間の火持ちと火力の安定性は抜群で、煙が少なく匂いも少ないのも特徴です。ご家庭でBBQ等で利用する場合は、一人1kgを目安に利用ください。
水1リットルに対して5~10cm程度の備長炭を2~4本程度を入れて12時間程度おくのが浄水目安です。備長炭の内部は、いわば細いストローのような多孔質になっていて無数の小さな穴があります。その穴に水道水の中の不純物(カルキ臭等)を吸着します。また備長炭に含まれるミネラル分が溶け出し、まろやかな水となります。飲料水や調理水として利用できます。使用前に備長炭をブラシ等で良く洗い、煮沸消毒してからご利用ください。業務用としてカフェ等の飲食店では備長炭で浄水した水を出されたり、その水でコーヒーなどの飲料に使われるお店も増えてきています。
ご飯を炊く際に、備長炭を一緒に入れて炊くと、備長炭の遠赤外線効果によりお米の芯からふっくらおいしく炊き上げます。備長炭に含まれるミネラル分が溶け出し、ふっくら艶やかに。もちろん水を浄化する作用もありますので、水道水のカルキ臭を吸着し、ご飯をおいしく炊き上げることができます。使用前に備長炭をブラシ等で良く洗い、煮沸消毒してからご利用ください。業務用として日本料理店などでご飯や釜飯の炊飯に使われたりしています。
良く洗った備長炭(目安:500g~1kg)を目の細かいネットや巾着袋に入れて浴槽に入れて使用します。遠赤外線効果で体がポカポカに。また備長炭の表面には、無数の小さな穴があり、水に含まれる塩素等の物質を吸着する効果があります。また、水の分子を細かくし、湯あたりもやわらかにしてくれます。入浴する30分前くらい(溜めはじめから)に浴槽に入れておくと良いでしょう。※入浴剤を使用する場合は備長炭を取り出してから入れてください。業務用としてホテルや旅館のお風呂に使われているところもあります。
備長炭には消臭、調湿効果があります。表面に開いている無数の穴に空気中の匂いを吸着します。また、空気中の湿度の調整もしてくれます。消臭としては下駄箱やクローゼットなどに入れて利用します。狭い空間であれば1~5kgほどが目安です。下駄箱やトイレなどでは1kg程度がご利用の目安です。お部屋などの消臭、調湿には相当量の備長炭が必要となります。床下に敷いたり、土に混ぜたりされる方もおられます。
お部屋のインテリアとして、気品が高く落ち着いた空間を演出してくれます。また、インテリアとしてだけでなく、置き炭としての機能性も兼ね備えています。備長炭の表面には無数の小さな穴があり、空気がその間を通ることで消臭などの効果も期待できます。玄関やリビング、オフィスなど、場所やシチュエーションを問わずご利用いただけます。
備長炭には細かな穴が無数にあり、通水性、通気性がよく、保水力もありますので、植物の根ぐされを防いだり、水やりの回数を減らすことができます。また、備長炭にはミネラル分も含まれるため、土壌のミネラル補給にも役立ちます。
紀州備長炭を焼く過程で出た煙を冷却して採取し、1年以上熟成させ、上層の油膜と下層の沈降した部分をできるだけ除いたものが木酢液です。主成分は酢酸で、その他200種以上の天然有機成分が含まれているといわれています。園芸用として病害虫などの防除。または、脱臭、消臭に。または忌避剤として犬や猫、ムカデなどに効果があります。
紀州備長炭の電気を通す特性と酸素を含む特性を利用し、アルミホイルと食塩水で備長炭電池として実験にも利用されています。学校での理科実験や夏休み等の工作にもおすすめです。
備長炭にはぬか床の雑菌の繁殖を抑える働きがあり、カビの繁殖を抑えることができます。また酸味も抑えられ、口当たりがまろやかになります。その他、黒にんにくを作る際に炊飯器に一緒に入れておくだけでにんにくの強い臭いを一定程度消臭する効果もあります。
備長炭の寿命は使い方によって大きく変わります。また、その効果によって持続する期間が変わります。
【燃焼時間・火持ち】
備長炭の品質や利用環境に大きく左右されますが、5時間程度は火力が持続します。短時間の利用のあと、火消しつぼで消けば(消し炭)再利用が可能です。
【ミネラル分】
浄水、炊飯、お風呂に入れる、など使い方によって差はありますが、ミネラル効果は1ヶ月程度持続します。
【吸着効果】
浄水目的で使われる場合は、週に一度程度は10分ほど煮沸し、乾燥させます。備長炭に溜まった汚れを落とします。お手入れをしてあげれば、浄水効果は3ヶ月~持続します。
【遠赤外線】
備長炭が持つ性質ですので、基本的には長期間持続します。
【マイナスイオン】
備長炭が持つ性質ですので、基本的には長期間持続します。
【消臭・調湿】
長期間(半年程度)効果が期待できますが、効果は徐々に効果は薄れていきます。可能であれば1ヶ月に1回程度ブラシで洗浄して10分ほど煮沸し乾燥をさせます。※細かい炭は洗浄が困難ですので、お手入れはせずにそのまま利用する形になります。
【再利用について】
備長炭は、調湿、消臭として最終利用できるほか、利用中に割れてしまったものや、使い終わったものを細かく砕いて、園芸用として利用が可能です。プランター等の土の中に備長炭を混ぜることで、微生物の共生や、栄養分、水などをバランス良く植物に供給してくれる、土壌改良材として使うことができます。
備長炭は火がつきにくい炭です。特に初心者が硬く締まった備長炭に火をつけるのは大変困難です。そこでこちらでは初心者でも比較的簡単に備長炭に火をつける方法をお教えいたします。まず火付けのタイミングですが、バーベキューなどの炭火焼を開始する60分前には火付けを始めてください。基本的には火がつきやすい小さい炭を選んで先に火をつけ、その後大きい炭に火をつけていきます。備長炭単体でほぼ火はつきませんので、特に初心者は火がつきやすい黒炭(もしくは薪)と着火剤を併用しましょう。備長炭同士はあまり密着させすぎず適度な間隔をあけ、空気が通るように配置します。
ご自宅等でガスコンロがある場合は火起こし器を使う方法がおすすめです。火起こし器は鍋底が網目になっている鍋で比較的安全に火を起こすことができます。ただしカセットコンロでは絶対に火起こし器を使わないでください。ボンベが熱くなって破裂する恐れがあり大変危険です。火起こし器に入るサイズの炭以外は着火できませんので、小さいめの炭を選んで着火してください。火起こし器では大きい炭には着火できません。
野外でのキャンプなどでは火起こし器は使えないため、市販の黒炭+着火剤での火付けが便利です。先に着火剤を使用して黒炭に火をつけ、しっかりと熾ったら備長炭に火を移していきます。大きい備長炭を使用する場合はこの着火方法がおすすめです。大きい炭は火がつきにくいため割って小さくすることもおすすめです。
備長炭には長く太いサイズのものも多くあります。飲食店などでは焼き台に合わせて割って使用されています。ここでは備長炭の割り方をご紹介いたします。
まず用意するものは「厚手の手袋」、薪割りなどに使う「鉈」、角が90度ほどの「L時金具」をご用意ください。また作業時には灰や粉が舞ったり、破片が飛んでくる場合もありますので安全のために必要があればマスクやゴーグルもご用意ください。決して鉈で切るわけではなく、鉈を備長炭の上に当て、鉈と炭を同時に角に当て、その衝撃で割るようなイメージです。最初は力加減は弱めで試してください。力いっぱい叩きつけると大変危険です。細くて丸く硬く締まった備長炭は割れやすいのですが、太い炭、硬く締まっていない炭、不揃いの炭などは割りにくい傾向です。
備長炭は外気に触れていると湿気を吸着してしまいますので、厚手のビニール袋などに密閉して比較的湿度の低い場所で保管してください。ビニール袋に入れていても多少湿気はつきますので3~6ヶ月程度では使い切るようにしてください。ビニール袋に入れることができない場合は1ヶ月程度で使いきるようにしましょう。
すぐに使えなくなるわけではありません。炭に湿気がつくと火をつけた際に炭が跳ねる(爆跳)可能性が高くなります。ケガをする恐れがあり大変危険です。炭の中は細かな筒状の複雑な構造になっていますので、屋外で干しても水分が乾ききらずに残ります。
一度でも水に浸けてしまった炭は燃料用としては利用できません。乾かして消臭用として部屋に置いたり、土に混ぜたりして無駄の無いように使いましょう。
備長炭は基本的に同じ性質を持っていますので、燃料用のものであっても浄水や消臭用に利用可能です。細かすぎたり、大きすぎたりすると使えないものもありますので、サイズや形状にも注意が必要です。
火鉢などで長時間使用される場合は、灰をかけて空気と触れる割合を減らしましょう。使用する備長炭も小さめで硬く締まったものがおすすめです。
火鉢などの省スペースにおすすめの備長炭→紀州備長炭(馬目細丸)、灰のご購入はこちら
国産(紀州・土佐・日向など)、外国産(中国、ラオスなど)がありますが、原木や製炭方法が異なりますので価格にも違いがあります。原木、製炭技術を含めた最高峰が紀州備長炭とされています。基本的には国産の備長炭の方が火力の持ちがよい傾向にありますが、炭の規格(ランク)にもよりますので、一概にどの備長炭が良いというわけでもありません。ご自身にあった備長炭を探してみてください。
購入後はブラシなどで丁寧に洗い、煮沸して使用してください。それでも使い始めのころは黒い欠片や粉が出ることがあります。欠片を飲み込むとケガなどをしたり、健康を害する恐れがありますので、できるだけ取り除いて利用してください。
食用として販売されている炭以外は避けてください。万が一飲み込んでしまった場合でも、備長炭の場合はほぼ炭素化していますので、煮沸消毒がしっかりできていましたら、すぐに健康被害がでることは可能性としては低いと考えますが、炭の欠片は角が鋭利になっていることが多く飲み込んだ場合にケガをする恐れがあります。アレルギーや健康を害することもあるかもしれません。ご自身で判断せずに購入前に食べれる炭がどうか必ず販売店に確認しましょう。
備長炭には燃料として利用する以外にも浄水、消臭、調湿、遠赤外線(お風呂)、土壌改良などの効果があるとされていますが、あくまで炭はもともとは木ですので工業製品ではありません。炭の品質、形状やサイズにも固体差がありますので、効果にも当然個体差があります。また、その効果そのものを必ずしも約束しているものではありません。浄水や消臭としてのご利用で効果がわかりにくい場合は少し量を増やしてみることをおすすめいたします。また、調湿効果というのは除湿が主にはなりますが、やはり一定量の湿度を吸着するとそれ以上の効果は薄れてしまいます。
備長炭には吸着作用があるため、木酢液を入れたお風呂に炭を入れるのはおすすめしておりません。併用される場合は、まずお湯のためはじめから備長炭を入れ、入浴直前に備長炭を取り出し木酢液を入れてください。入浴剤を使用する場合も同じです。
紀州備長炭に限り、和歌山県木炭協同組合が発行した「紀州備長炭証」というステッカーを貼った場合にのみ国内航空機への搭載が可能です(2017年現在)。紀州備長炭の場合は用途に限らずステッカーを見える位置に貼り付けていれば、機内持ち込み、宅配配送ともに可能です。燃料用でも浄水用でも、ステッカーの貼り付けがなければ紀州備長炭であっても搭載できません。この規定は国連勧告に準ずるもので、危険物の扱いになるものです。その他の木炭も含め、国内航空機に搭載可能な炭は用途やサイズに関係なく紀州備長炭と名護パイン炭(コスメ用)のみです。
紀州備長炭であっても紀州備長炭証がすべての商品に貼ってあるわけではありません。飛行機に搭載を予定されている場合はご購入前にステッカーをつけてもらえるかどうか販売店に確認しましょう。
紀州備長炭を海外発送される際は運送業者、航空会社、海運会社等などに事前に確認を取ってください。送り先の国の税関にも確認が必要です。ステッカーの貼り付けがあればEMS(日本郵便)で送れる国もあるようですが、事前確認が必要です。
※本ページの内容はあくまで参考とお考えください。備長炭の効果、使い方についても安全性や信頼性を検証したものではございません。